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<<   作成日時 : 2017/04/16 20:17   >>

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HY材の歴史と歯科用セメントへの応用

HY材は、永久歯に対する知覚過敏治療剤として1980年大阪大学名誉教授 山賀禮一らによって開発されたタンニン・フッ化化合材である。
HYとは歯科の専門用語であるHysに効果があることから命名された記号である。
このHY材の作用機序は薬木の楊枝とお歯黒の作用理論を応用したものであり、歯を構成している無機質と有機質に対して同時に作用してう蝕予防効果があることが認めらえれている。欧米においても無機質と有機質の両方に作用し、う蝕予防効果をもたらす薬剤・材料はそれまで存在しなかった。


お歯黒の材料にはタンニンを約60%含有するふし粉をウルシ科の植物である白膠木(ぬるで)にミミフシアブラ虫がつくる虫えい(虫こぶ)を加熱乾燥・粉砕したものと鉄漿水(かねみず)と呼ばれる酢酸啜の溶液が用いられた。
これらを混ぜて歯に筆で塗布すると、第一鉄イオンは歯のリン酸カルシウム、タンニンは歯のタンパク質とそれぞれ反応する。その空気中の酸素によって酸化され、第二鉄イオンとタンニンが反応することにより、黒い緻密な被膜を形成し、歯の表面を保護していたと考察される。

1970年から、健康保険に適用された鍍銀法、いわゆるサホライド塗布は、鍍銀法によるタンパク質強化とフッ素塗付法によるリン酸カルシウムの強化を同時に行うことができるフッ化ジアンミン銀(製品名:サホライド)が前述の山賀禮一らによって開発された。
しかし、この薬剤は効果が高い反面、歯髄刺激性があることう蝕によって歯質や歯垢を黒色に変色させることなどから、永久歯の前歯には用いることができず使用範囲が限定されていた。
このために、歯質を変色させずに、永久歯の知覚過敏抑制剤として、タンニン・フッ化物合材であるHY材が考案された。

HY材は
タンニン酸 20%、
 フッ化ストロンチウム(SrF2) 25%
 フッ化亜鉛(ZnF2) 50%
 pH調整剤(ZnO) 5%
から構成される、水に難溶性で灰褐色の歯科用粉末である。
HY材に含まれるフッ素とストロンチウムは歯質の成分であるハイドロキシアパタイト中のカルシウムや水酸基と置換して歯質を強化(耐溶解性の向上と石灰化の促進)する。
また、HY材に含まれるタンニンや亜鉛は細菌の活性を低下させる作用(抗菌性)や有機物の分解・腐敗を防ぐ作用(抗酵素性)があり、そのため歯質の成分であるタンパク質とイオン結合することにより、タンパク質を凝固させて象牙質内にある細管を封鎖して外来刺激を遮断する。この歯質に対する基本的な効果はサホライドと同様であるが欠点として効果の発現が遅いことが問題であった。

HY材の効果
歯のアパタイト(無機質)に、ストロンチウムやフッ素が結合する。
歯のタンパク質(有機質)に、タンニンと亜鉛イオンが結合する。

松風という会社では、長期にわたり歯質に接触するセメント類(歯科用接着材)にHY材を配合することにより歯質の強化が期待できるという研究結果を元に、充填用・合着用・仮着用・仮封用・裏装用など、様々な用途のセメントを販売している。

現在、多くの研究者がさまざまな観点からHY材配合セメントを用いたバイオアクティブな効果(抗菌性・抗酵素性・耐酸性の向上、軟化象牙質の再石灰化、象牙細管の封鎖、二次う蝕の抑制、歯髄保護及び知覚鈍麻)を報告されている。

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